腎臓内科
腎臓内科では、腎臓に関する疾患全般の診療が中心になります。
当院では、腎臓病進行予防外来、各種腎炎、各種ネフローゼ症候群、多発性嚢胞腎サムスカ療法、その他健診での尿検査または血液検査異常、痛風鎮痛、熱中症治療などの診療を行います。
同じ腎臓の病気でも、病気によって診療科が異なります。ネフロ-ゼ症候群や腎炎、慢性腎不全などは腎臓内科となりますが、腎癌や腎結石などは泌尿器科の診療となります。とはいえ、患者さまはご自分の病名がわからないケースがほとんどだと思いますから、まずは当院へご相談ください。
糖尿病や高血圧などの基礎疾患がある場合は、血糖や血圧のコントロールがよくないと、腎臓の合併症が進行しやすいため、注意が必要です。腎臓疾患においては、将来的な透析のリスクを回避するため、早期発見・早期治療を行うことがとても重要です。
代表的な疾患
- 慢性腎臓病(CKD)
- 糖尿病性腎症
- 多発性嚢胞腎
- 高血圧性腎臓病(腎硬化症)
- IgA腎症
慢性腎臓病(CKD)
現在、日本には約29万人の透析患者さんがいます。これは国民500人に1人が透析患者という計算になりますが、透析患者数は日本のみならず、世界中で増加の一途をたどっています。
慢性的に腎機能が低下している透析予備軍を「慢性腎臓病」と呼びます。
現在、日本には約1300万人の慢性腎臓病患者がいると推定されており、これは成人の約8人に1人にあたる数で、こちらも同様に急激に増えています。
「慢性腎臓病」はこれだけ頻度の高い国民病であるにもかかわらず、患者さんの大部分は何の症状もないまま、徐々に腎機能が低下していき、末期腎不全へと進行してしまいます。しかし「慢性腎臓病」は早期発見・早期治療することによって、病気の進行を抑えることができるのです。
糖尿病性腎症
糖尿病性腎症とは、糖尿病の合併症の一つで、上昇した血糖値が腎臓の機能を低下させる病気です。
腎臓には約100万個の糸球体(老廃物をろ過する毛細血管の束)があり、私たちはそのはたらきによって体内の老廃物を排泄しています。しかし、糖尿病のために血糖値が高い状態が続くと、糸球体のはたらきが低下します。すると、本来は老廃物のみをろ過するはずの糸球体が、身体にとって必要なタンパク質などもろ過してしまい、尿にタンパクが出るようになります。また、病状が進行すると、糸球体がつぶれてろ過が行なわれなくなり、身体に老廃物や水分がたまってしまいます。病状がさらに悪化すると、腎不全や尿毒症に陥ります。
多発性嚢胞腎
両側の腎臓にできた嚢胞という袋が徐々に大きくなり、正常組織を圧迫することによって腎臓の機能が低下する、最も頻度の高い遺伝性疾患です。約4000人に1人の割合で発症すると考えられています。
30-40歳代まではほとんど症状はありません。しかし体内では徐々に嚢胞が大きくなっており、腎機能が徐々に低下している事が多くみられます。60歳で約半数の方が透析の必要な状態まで腎機能が低下してしまうと言われています。
遺伝形式は常染色体優性遺伝が多く、両親に多発性嚢胞腎の方がいれば、男女を問わず2分の1の確率で多発性嚢胞腎が遺伝している可能性があります。ご両親が多発性嚢胞腎で治療されていたり、透析を受けている場合には医療機関での精査をお勧めしております。
高血圧性腎臓病(腎硬化症)
腎硬化症とは、高血圧が原因で腎臓の血管に動脈硬化を起こし、血管の内腔が狭くなって血液量が減少することで腎臓に障害をもたらす疾患です。腎臓は大きな血管から、糸球体(血液から尿を生成するフィルターのはたらきをする毛細血管)まで、さまざまなサイズの血管が集まっている臓器です。長年の高血圧などにより、腎臓の細小動脈に障害が起こり、その結果、徐々に糸球体が硬化して腎機能が低下します。病気の進行が遅い良性腎硬化症と、急速に症状が悪化する悪性腎硬化症があります。
良性腎硬化症は、本態性高血圧(加齢や遺伝的要因、生活習慣と関連した高血圧)によって、腎臓の血管に動脈硬化を引き起こし、徐々に腎機能の低下をきたしたものです。
一方、悪性腎硬化症は、本態性高血圧以外にも腎血管性高血圧(腎動脈の狭窄による高血圧)などの原因が特定される二次性高血圧の経過中に急激に悪化し、腎障害のみならず心不全や脳血管障害など全身の症状を呈する予後の悪い病気です。
腎硬化症は、日本で透析導入が必要な末期腎不全の主要原疾患として、2016年の時点では第3位で、全体の14.2%を占めています。